
ゲレンデのBGM、あれ誰が選んでるんだろう
リフトに乗っている時、ふと思いました。
「この曲、誰が選んでるんだろう」
スキー場によって、BGMが全然違います。最新のJ-POPで攻めてくるゲレンデもあれば、90年代の懐メロをひたすら流し続けるゲレンデもある。広瀬香美の「ロマンスの神様」が今でも普通に流れているゲレンデもある。
あの選曲は、誰かが意図を持って決めているのか。それとも何かに任せているのか。リフトの上でぼんやりそんなことを考えていました。
調べてみたら、スキー場によって哲学が全然違った
いくつかのスキー場の取材記事を読んでみると、面白いことがわかりました。同じ「ゲレンデのBGM」でも、スキー場によってアプローチが全く違うんです。
苗場スキー場は「あえて選ばない」
苗場の担当者によると、BGMは特別に選んでいるわけではなく、有線放送をそのまま流しているとのこと。「あえてこれというものはないんです。その時代のヒットチャートを流すのが基本です」という答えでした。かつてはCDを再生していたそうですが、今はUSENのチャンネルをそのまま流している。60年以上続く老舗ゲレンデのやり方は、ずっとシンプルです。
高鷲スノーパークは「完全にプロに任せる」
一方、中部・西日本最大級の高鷲スノーパーク(岐阜県)は、場内放送の業務をプロダクション1社に委託しているそうです。さらに名古屋で活躍するDJにノンストップMIXの音源を依頼して、1日の中で数回「音楽だけの時間」を作るという徹底ぶり。朝は明るい系、ランチタイムは少しゆったり系、昼過ぎには再び盛り上げ、夕方はしっとり系、という時間帯ごとの設計まであるとのこと。
これはもう「BGMを流している」じゃなくて「体験を設計している」レベルです。
かぐらの田代エリアは「あえて無音」
一番驚いたのはここです。かぐらスキー場の田代エリアは、基本的にBGMを流していないそうです。理由は「眺望をストレートに楽しんでほしいから」。視界不良の時だけ音楽をかける、という逆転の発想。
確かに田代エリアの景色は格別です。音楽がない中で滑ると、雪を削る音や風の音だけが聞こえる。それはそれで、ものすごく気持ちいい体験でした。
リクエストの中身が毎シーズン変わってきている
高鷲スノーパークの担当者が面白いことを言っていました。
ここ数年、来場者からのリクエストの雰囲気が毎シーズン変わるそうです。あるシーズンはロック系、次のシーズンはK-POP多め、その次はエレクトロ系、という感じで。昔はテッパンの曲があって、それをリクエストする人が多かった。でも今は音楽の聴かれ方が変わって、1曲単位で消費されるようになったから、流行のサイクルが格段に速くなっているんだと思います。
そして「ずっと定番は広瀬香美さんや松任谷由実さん。世代を超えて今も毎日のようにリクエストいただきます」という言葉もありました。どれだけ時代が変わっても、「ロマンスの神様」はゲレンデで生き続けているわけです。
ゲレンデBGMと記憶の話
苗場の担当者がこんなことを言っていました。
「リフトに乗りながら聞いた曲を『いい曲だな』と思って、帰りの車の中でラジオで聴いて、後日カラオケで歌う。そんな経験をした人は多いと思います。ゲレンデで聞いた曲がその人の記憶に残り、ヒットの流れが生まれる側面があるのではないでしょうか」と。
これ、すごく納得しました。非日常の空間で聴いた曲は、記憶に残りやすい。スキー場というちょっと特別な場所で流れていたから、その曲が刷り込まれる。だから30年経っても「ロマンスの神様」を聴くとゲレンデが浮かぶんだと思います。
結局、誰が選んでるのか
まとめると、こんな感じです。
苗場 → USENのチャンネルをそのまま流す
高鷲スノーパーク → プロダクションに委託・DJも起用
田代エリア → あえて流さない
「誰かが選んでいる」というより、スキー場それぞれの哲学が選曲に出ている、というのが正解に近いかもしれません。
次にゲレンデに行った時、BGMに少し耳を傾けてみてください。そのスキー場が誰に向けて、どんな体験を作ろうとしているか、BGMを聴くだけでなんとなく伝わってくる気がします。
ユウタロウ
関連記事 → [40代初級者が選ぶ、関東から行けるスキー場トップ3]
関連記事 → [なぜ40代は「なんとなく滑る」を繰り返してしまうのか]


コメント